いよぎん地域経済研究センターが愛媛県内の自治体ICT利用状況を調査

 

 

愛媛県松山市に本店を置く伊予銀行の調査機関、いよぎん地域経済研究センターが、愛媛県内の自治体におけるICT(情報通信技術)利用状況を調査しまとめました。

同センターの調べによると、県内の20市町のうち半数にあたる10市町が、FacebookやTwitterなどのSNSを既に導入しており、さらに3市町が導入検討中とのことでした(2013年8月現在)。また、未導入の自治体の一部からも、SNS導入の必要性は感じているという回答が得られました。

ただし、そうした必要性を感じながら未導入の自治体では、「誤情報や権利侵害・不適切な発言等を懸念しており導入は難しい」との回答も寄せられました。逆に、既に導入済みの自治体では、そうした懸念は確かに問題であるとしながらも、「運用態勢を整備しており、懸念するような問題は起こっていない」とのことでした。

導入済みの10市町のSNSアカウントをさらに見ていくと、観光やイベント情報、行政情報を発信しているアカウントが多いことが分かりました。ただし、その大半は、自治体から住民への一方的な情報発信に留まっており、SNS本来の特徴である「双方向性」を活かした運用がなされているものは少ないのが現状です。これは運営ポリシーからも明らかであり、多くの自治体が住民からのコメントには基本的に返信しないというポリシーを設定していました。

次に、情報発信頻度に関しては、「毎日/ほぼ毎日」と「週2~3回」が各36%と約7割を占め、多くのアカウントが積極的な投稿を行っていました。ただしその一方で、一度も投稿を行っていなかったり、ごく僅かな投稿しかしていないアカウントも存在しました。そうしたアカウントは、防災情報を発信することを目的に作られたものでしたが、普段からPRを行ってアカウントの認知を高めなければ、災害時に情報拡散の効果は期待できないことも考えられると、いよぎん地域経済研究センターでは分析しています。

SNSで情報発信を行う担当職員の数は、「1人」「2~3人」がそれぞれ44%で、「4人以上」が12%となっており、6割近くのアカウントが複数人で運用されていることが明らかになりました。この理由として、担当者を1人に決めてしまうと職員の負担が大きくなってしまうこと、2~3年で職員が異動するため、1人に任せると継続性に問題が出ることが挙げられています。しかし、複数人が携わることで結果として職員の意識が高まることも考えられるため、今後も継続していく上では、人員面も考慮した対策が必要ではないかと調査レポートでは述べられていました。

いよぎん地域経済研究センターでは、SNS運用の今後のポイントとして、双方向性を重視し住民の反応をいかに行政運営に反映していくかを指摘しています。ただし、SNSはあくまで1つのツールであり、安易な導入はリスクをもたらす可能性も大きく、さらには、すべての人がSNSを使用しているわけではない。そのため、届けたい相手に合わせたツール選択も重要ではないかとしています。

 

■参考URL

・愛媛の10市町、SNS導入 いよぎん地域経済研究センター調査  :日本経済新聞 http://www.nikkei.com/article/DGXNZO61941760R31C13A0LA0000/

・愛媛県内自治体のICT利活用状況[PDF] http://irc.iyobank.co.jp/topics/press/251030.pdf