掛川市「地震・津波対策整備基金」制度と掛川の寄付文化

静岡県掛川市では、巨大地震に備え今年10月に「地震・津波対策整備基金」制度が創設されました。そしてこのたび、制度発足後はじめての寄付が行われました。

今回、同基金に寄付を行ったのは、掛川市内の民間企業1社と市民2人で計308万円が松井三郎掛川市長に手渡されました。市長は「防災林の強化などに役立て、早く沿岸部の不安感を払拭したい」と感謝を述べています。掛川市では3億円の目標金額を設定し、2017年度まで市民や企業、団体などに広く寄付の呼びかけを行っています。

参考:地震・津波対策整備基金:1社と2人が掛川市へ寄付 制度発足後第1号 /静岡- 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/area/shizuoka/news/20131120ddlk22010049000c.html

掛川市は、二宮尊徳の思想を伝える大日本報徳社の本社が置かれ、報徳思想が根付いている地域の一つです。報徳思想の代表的な教えの一つに、「分度」をわきまえ少しでも他者に譲れば(推譲)、周囲も自分も豊かになるという教え(分度推譲)があります。その思想の現れとして、掛川市ではこれまでも寄付を活用した地域おこし事業が何度か行われてきました。

その1つが、新幹線駅の誘致です。掛川駅は、10年以上に及ぶ誘致運動の末、建設費用の一部を30億円もの市民募金(1戸あたり10万円という規模で寄付が行われたそうです)でまかなう「請願駅」として設置されたものです。

参考:第426回 「新幹線掛川駅誕生以降のまちづくりは『報徳の教え』により実現!」
http://e-jan.kakegawa-net.jp/modules/topic/topic_view.phtml?id=656739&grpcd=162511&o=&l=20

また掛川城天守閣の復元も市民からの寄付金が元になっています。掛川市に魅力を感じ東京から移住してきたある市民が資産から市へ5億円を寄付し、さらに当時の榛村純一市長が中心となって数億円の寄付を市民等から集め、市民の力で天守閣を復元。1994年に完成しました。

参考:掛川市役所からの返事(手のり屋本舗あずま)
http://pub.ne.jp/tenori/?entry_id=2706040

近年も、掛川駅に残されている1933年建造の木造駅舎を保存する運動で寄付金募集が行われ、6,348万円を集めました。

参考:掛川駅木造駅舎保存活動(掛川市役所)
http://www.city.kakegawa.shizuoka.jp/city/kihu/ekisyahozonkatudou.html