千葉市で写真を媒介としたコミュニティ対話の試み(ヒストリーピン)

 

千葉県千葉市で「ヒストリーピン」というサービスを利用し、世代を超えた対話と交流を生み出そうとする取り組みが行なわれています。

「ヒストリーピン」は、もともと英国のNPOが2011年に開発したサービスで、市民対話ワークショップと、昔の写真を現在の地図に重ねて配置できるウェブサイトで構成されています。日本ではこれまでに静岡県富士宮市(富士宮プロジェクト:下記動画)や愛知県名古屋市でワークショップが行なわれてきました。

Bridging Communities: Sharing Our Memories from Yasuhiro Tamura on Vimeo.

この「ヒストリーピン」の仕組みが使われたのは、去る7月に千葉市中央区白旗地区で行われた七夕祭り内のイベント「白旗思い出ポスト」です。これは千葉市でオープンデータを推進する市民らの有志団体「オープン!ちば」と、祭りを中心となって運営する淑徳大学の学生が連携して行ったもので、千葉市広報がデジタルアーカイブし提供した3万枚の古い写真の中から、話題が広がりそうなものをテーマごとにファイリング。同時に千葉市広域から白幡地区までを表示した現在の地図に、古い写真を対応させてパネル掲示したものです。パネルを訪れた地元住民の方々から集まったコメントは、大学生たちがパネル上に付箋紙で随時貼り付けていきました。七夕祭り終了後の現在も「白旗思い出ポスト」は、コミュニティースペース「絆カフェ」に常設展示されています。

また、祭り開催中から現在まで、地図と古い写真の対応データは、「ヒストリーピン」のウェブサイトでも公開され自由に閲覧できるようになっています。

・Historypin | Collection | MemorialPost of SHIRAHATA Shopping street http://www.historypin.com/collections/view/id/4492/title/MemorialPost%20of%20SHIRAHATA%20Shopping%20street

 

「Historypin」は、地域の歴史や記録をシェアすることで、世代を超えた人々の対話を生み出し、地域におけるソーシャル・キャピタルを醸成していくことを目的としたプログラムです。その仕組みを使った今回の千葉市での取り組みも、地域の人びとの繋がりを強化していく取り組みとして大いに参考になりそうです。

 

■参考URL

・オープンデータがもたらす、まちの記憶と地域の交流 ――ヒストリーピン 前編|あしたのコミュニティーラボ(2023/10/26追記:リンク先の記事がなくなっているためリンクを削除)

・なぜ企業が社会的な活動を支えるのか ――ヒストリーピン後編|あしたのコミュニティーラボ (2023/10/26追記:リンク先の記事がなくなっているためリンクを削除)

・白旗七夕祭り – コミュニティ政策学部Blog http://www.shukutoku.ac.jp/seisaku/blog/2014/07/20140705sirahatatanabatafes.html

・写真を媒介とし、認知症の高齢者を含む多世代の交流の場を作り出す取組み(富士宮プロジェクト実施報告)
http://www.glocom.ac.jp/2014/04/post_200.html